耳垂裂とは
「耳垂(じすい)」 とは、 耳たぶのことです。 耳垂裂は文字通り、 耳たぶが裂けてしまっていることです。 先天的(生まれつき)に耳垂裂になっているケースは稀で、 ほとんどが外傷などを原因とする後天的なものです。
後天的な耳垂裂が起こる原因のほとんどは、 ピアスです。 何かに引っかかることで、 耳が裂けてしまうことがあります。着替えのときにピアスがひっかかって耳が裂けてしまった、ピアスの重みでだんだんと穴が拡がって耳たぶが裂けるに至った、 などのケースです。
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先天性耳垂裂
耳のかたちは妊娠1~2ヶ月の間に完成します。 この期間内に何らかの障害がおこると、 耳垂裂が発生すると考えられています。個人差はありますが、 ほとんどのケースに耳垂の発育障害が伴います。 少しくびれた程度のものから、 複数箇所に裂が入っているケースなど、 状態は様さまざまです。 -
後天的な耳垂裂
外傷を原因とする耳垂裂です。 次のようなことがある場合は、 お気をつけください。
① ピアスを洋服やタオルなどによく引っ掛けてしまう
② ピアス孔が耳垂の縁に近い部分にある
③ 重いピアスを使い続けていて、 孔が伸びて広がってしまった
④ ニッケルやクロムなど金属アレルギーがあり、 ピアス孔が安定しない
当院の耳垂裂治療
裂けてしまった耳たぶは、手術で縫合することになります。 その際、ただ縫合するだけでは形がいびつになってしまうことがあります。 手術には何通りかの方法があり、 その中から裂け方に合わせた方法をご提案したうえで、 最終的な手術方法を決定します。
当院で行う主な方法は、 「Z形成術」 と 「W形成術」です。 いずれの方法も局所麻酔下で行います。
手術時間はおよそ20分程度です。
Z形成術
耳垂裂の手術の中でも一般的な方法です。 裂け目のそれぞれに小さな切れ込みを入れて、それを組み合わせるように縫合します。縫い目がアルファベットのZのような形になることからこの名前がついています。
手術前
縫合後
手術前
縫合後
W形成術
裂けた耳たぶの両側にV字型に切り込みを入れて縫合します。縫い目はWが繋がったようなジグザグの形になることからこの名前があります。
耳垂裂治療の費用
先天性耳垂裂の場合、 保険適用となります。 後天的な耳垂裂はすべて保険適用外で、 自費治療となります。
治療後の経過
手術痕は、 時間の経過とともに目立たなくなります。
当初少し赤くなり、 しこりが触知されますが、 数か月のうちにだんだんと治まっていきます。
個人差はありますが、術後半年〜1年以上経過すると、 傷跡は目立たなくなっていきます。
ケロイドが起こりやすい体質の場合、 耳垂裂の手術痕からケロイドを発症する可能性があります。 その際は、 ケロイド治療が必要となることがあります。
耳垂裂を放置した場合
耳垂裂では、裂けた部分が自然に元に戻るということはありません。 裂傷が自然に治癒したとしても、変形して瘢痕が目立ちます。 また傷が治るまでの間に細菌感染を起こしてしまうと、 じくじくが続いて耳が腫れたり、 傷が治りにくくなったりします。