陥入爪、巻き爪Ingrown Nails

陥入爪、巻き爪とは

巻き爪とは

陥入爪とは、爪の端が周りの皮膚に食い込んでしまうことで、痛みや腫れが生じたり、化膿してしまう状態のことです。 巻き爪とは、爪の両サイドが爪の下の皮膚をつかむように巻いて、指の皮膚を巻き込んでしまっている状態を言います。ほとんどの場合足の指、しかも親指に起こることが多いです。それぞれが合併することも少なくありません。 痛みをかばおうとして歩く姿勢が悪くなったり、しっかりと体重を支えられなくなったりと歩行に影響が出はじめると、腰痛や膝痛の原因となることもあります。

原因

実は10人に1人程度の方が巻き爪に悩んでいるという報告があります。特に巻き爪に苦しんでいるのは女性に多いといいます。
巻き爪は、

の3つが主な原因となって起こるといわれています。
その他、爪白癬(爪水虫)などの爪疾患や、服用中の薬剤が影響していることもあります。

誤った爪の切り方

爪を短くしすぎることが大きな原因の一つになっています。爪を短く切りすぎた状態、いわゆる深爪になると、爪の先端の両サイドが皮膚に埋もれて常に負荷がかかりやすくなり、爪本来の丸まって巻こうとする力が働いて、巻き爪が起こると考えられています。爪の端を斜めに深く切り込むような切り方も避けましょう。


足指に負荷をかけない歩き方

巻き爪は、寝たきりの方や、足の指を地面につけないまま歩く浮指の方にに多くみられます。 本来、爪は丸まっていく性質があります。通常は歩行時に地面からの力が加わることで、爪は平らになりますが、力が加わらない状態が続くと、爪は巻いてしまうのです。足の親指の方向が内側向きであったり、外側向きであったりすると、力のバランスが崩れて、巻き爪を起こしやすくなります。常に歩く方向に対して親指がまっすぐ出るよう、正しい歩き方をしましょう。毎日、歩いたり運動をしたりと、ある程度バランスのとれた負荷をかけることが大切です。


足にきちんと合っていない靴選び

女性に巻き爪が多い理由として考えられるのが、先端の細くなったヒールのある靴です。たとえサイズが自分の足にあっているとしても、先端が細くなって、足の幅に合わない状態になると、足指に側面からかかる力は大きくなり、バランスが崩れてしまいます。加えて、ヒールによる足の先端への荷重は、崩れたバランスに拍車をかけることになってしまいます。

一方、大きすぎる靴を履いていても、足の指は靴の中で前後・左右へと動いて、歩きにくくなってしまいます。そのため、つま先にかかる負荷が高くなり、やはり足の指と爪の力のバランスが崩れることになります。
靴を選ぶ際は、寸法だけではなく、幅もご自分の足のサイズにぴったりと合わせる必要があります。外反母趾があるような場合も、隣の指に押されて巻き爪になることがあります。

治療

巻き爪が起こっていても、特に痛みや炎症などの症状がなければ、後述するセルフケアをきちんとしながら、経過観察でもかまいません。しかし、爪が棘のように皮膚に刺さって皮膚に食い込んでいる・痛みがある・炎症から化膿している・指が腫れているといった症状が認められ、陥入爪があるケースでは、しっかりと治療する必要があります。特に不良肉芽といって、炎症が原因でぶよぶよとした肉が盛り上がった状態になると、自然には治りにくく、放っておくと出血したりなど、日常生活にかなり支障をきたします。なお、巻き爪がなくても、陥入爪が起こることはあります。治療法は共通するところが多いです。

テーピング法

テーピング法は簡単で、やりかたさえ覚えれば自宅でも可能な治療法の1つです。伸縮性のある医療用テープを2×6cm程度に切り、爪とその下の皮膚に隙間があくような方向に貼ります。これによって、巻き爪や陥入爪による圧力が緩み症状が緩和されます。
詳しい方法については、治療の際に、医師や看護師の手で実際にテープを貼りながら説明させていただきます。


コットンパッキング

コットンパッキングも簡単で自宅でできる治療法の一つです。これはテーピング法とは逆の発想で、隙間に綿を詰めることによって食い込んでいる爪の方を持ち上げ、爪の食い込みから皮膚を保護します。
食い込みが強い場合は、テーピング法と併用することでさらに高い効果を得ることができます。


ガター法

陥入爪によって爪の食い込みが激しく、炎症によって不良肉芽などができてしまったケースで高い効果を得られる方法です。
局所麻酔をした上で、爪の陥入している部分を医療用の器具を使って少し剥がし、その部分に点滴などで使用する柔らかいチューブを半分に切って差し込みます。その上で、手術用の接着剤などで固定します。その際、不良肉芽ができていれば、チューブの挿入前に切除しておくことになります。
なお、この方法は陥入爪の治療であり、巻き爪がまっすぐになることはありません。

※当院では、巻爪矯正(ワイヤー法等)は行なっておりません。

 

日常生活での注意点

まずは、爪の切りすぎに注意しましょう。特に先端の両サイドは、巻いているからといって深く切りすぎると、丸まったり陥入が激しくなったりしやすくなります。爪と皮膚がくっついている部分から1mm程度のばして、先端をまっすぐに、両サイドは少し丸める程度に切るようにしましょう。
また、靴は寸法だけでなく甲の幅、つま先の形なども自分に合ったものを選ぶようにしましょう。どうしてもハイヒールが必要な場合は、行き帰りは歩きやすい靴にして、会場で履き替えるとよいでしょう。
歩き方は、つま先が真っ直ぐ正面に向くように足を出し、踵から着地して、最後は親指でしっかりと押し出しましょう。
毎日、少しずつでも、しっかりと歩いたり運動をしたりと、足の指先にバランスよく力をかけるようにすることで、爪が巻こうとする力に反発力を加えることができ、巻き爪や陥入爪ができにくくなります。 日常のこうした注意をまもって、できるだけ爪を正しくケアすることで予防することができます。

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